Nana no Ie of 柴崎勉建築設計事務所

 敷地は地方都市の郊外の準工業地域。隣地をマンション駐車場、GS、田んぼ、低層住宅に囲まれている。二面接道の道路は幅員のわりに交通量が多く、住環境として大きく開いた計画にするには無理がある環境である。そこに新たに街を挿入するため外界と隔てるシェルターを、諸条件から必要とされる外部空間と内部空間の余白を切り取るように配置した。必要な採光/通風はシェルターに孔を放ち、スリットを切り取る行為で確保し、それと同時に周辺環境に対して人が暮らす気配を漏らす事にも留意しながら形態を決めていった。
 内部に展開する路地状の土間は、遮音性を考慮して隣家と距離をとって配置したスタジオと、建物全体を貫き天空に開いた吹抜を介して、この建築を一体のモノする役割を担い、光や風だけでなく家族が暮らす気配を家中に発散する。。土間とその他の床のレベル差は、そこに腰掛けること誘発してその結果そこに新たなアクティビティーが生まれることを意図した。LDの床はそのまま南側のデッキへと続き、その先を仕切るシェルターによって自由な空だけをトリミングして外部と内部を繋ぐ第三の領域を造り出している。入れ子によって生まれたこれらの空間は結果としてこの住宅の目指す街路性の重要なキャラクターとなった。
 我々が造り出す住宅はそこに集う人々と、長い時間をかけてネスティングしその使命を全うできるものであると感じている。クライアントの子供たちがこの住宅を血液のように駆け回り、時には触発されて、「いえ」を「家」へと導いていただけることを願う。

R0012092.JPG全景
R0012267.JPG全景(夜景)
R0011994.JPG白く浮び上がるアプローチ
_B0F5030.jpg土壌蓄熱床暖房の土間空間
_B0F5050.jpg防音スタジオ
_B0F5059.jpg家の中にある土間
_B0F5100.jpgLD
R0012043.jpgスノコ状の踊場が上下階を緩やかに繋ぐ
_B0F5130.jpgチャイルドリビング
R0012060.jpgWC
_B0F5140.jpg子供部屋 可動家具によって間仕切る事が出来る
R0012342.JPGLDに差し込む光
所在地
山形県山形市
規模
木造2階 延べ床面積156.93㎡
設備
土壌蓄熱型床暖房(サーマスラブ)
オール電化+薪ストーブのハイブリッド暖房

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